技術分野
① 人工知能の基礎と動向
G検定シラバス2024の「人工知能の基礎と動向」に含まれる全54用語を、試験で問われるポイントに絞って解説します。NEW はシラバス2024で新たに追加されたキーワードです。
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1. 人工知能の定義
AI効果
AI効果とは、かつては人工知能と呼ばれていた技術が普及・一般化するとAIと見なされなくなる現象を指す。音声認識や文字認識などが代表例であり、AIの定義は時代とともに変化するという点がG検定で頻出である。
エージェント
エージェントとは、環境を観測し、行動を選択して環境に働きかける主体のことを指す。人工知能分野では、知覚・意思決定・行動の一連の流れを持つ存在として定義され、強化学習の基本概念として扱われる。
人工知能
人工知能とは、人間の知的行動をコンピュータ上で実現しようとする技術・研究分野の総称である。明確な単一定義は存在しない点や、推論・学習・認識・判断などの機能を含む点が試験で問われやすい。
機械学習
機械学習とは、明示的なルールを与えず、データから規則性やパターンを学習する手法である。人工知能を実現する中核技術であり、教師あり学習・教師なし学習・強化学習に分類される点は頻出である。
ディープラーニング
ディープラーニングは、多層構造を持つニューラルネットワークを用いた機械学習手法である。特徴量を人手で設計せず、データから自動的に抽出できる点が特徴で、画像認識や音声認識で高い性能を示す。機械学習の一分野である点はG検定で非常に重要である。
2. 人工知能分野で議論される問題
シンギュラリティ
シンギュラリティとは、人工知能が人間の知能を超え、自己改良を繰り返すことで技術進歩が加速する転換点を指す概念である。実現時期や可能性については諸説あり、科学的に未確定な仮説である点が重要である。
シンボルグラウンディング問題
シンボルグラウンディング問題とは、記号(シンボル)が現実世界の意味とどのように結び付くかという問題である。単なる記号操作だけでは意味理解に至らない点が、人工知能の限界として議論される。
※人間は「シマウマ」を初めて見ても「白黒の縞模様の馬」という特徴から理解できるが、AIは「シマ」「ウマ」という記号を知っていても、実物を見ないと「シマウマ」を認識・理解できない。
身体性
身体性とは、知能は身体を通じた環境との相互作用によって形成されるという考え方である。人間の知能を理解・再現するには、身体や感覚を持つことが重要だとされる。
ダートマス会議
ダートマス会議は、1956年に人工知能という研究分野が初めて提唱された学術会議である。ここで初めて、“Artificial Intelligence (人工知能)”という言葉がジョン・マッカーシーによって使われ、人工知能研究が本格的に始まった点が試験で頻出である。
トイ・プロブレム
トイ・プロブレムとは、現実世界を大幅に単純化した問題設定を指す。研究初期には有効だったが、実問題への適用が難しい点が課題とされた。
※ハノイの塔、Nクイーン問題、スライドパズルなど
知識獲得のボトルネック
知識獲得のボトルネックとは、専門家の知識を人手でルール化・記述することの困難さを指す。特にエキスパートシステムで問題となり、機械学習台頭の背景となった。
チューリングテスト
チューリングテストとは、人間と機械を区別できなければ知能があるとみなす評価方法である。内部構造ではなく、外部から観測される振る舞いのみを基準とする点が特徴である。
中国語の部屋
中国語の部屋は、記号の操作ができても、その意味を理解しているとは限らないことを示す思考実験である。中国語を理解できない人が、分厚いマニュアルに従って記号を処理すれば、外部からは正しく中国語を理解しているように見える。これは、チューリングテストを通過しても「意味理解」や「意識」があるとは言えないという点で、強いAIの立場を批判している。
強いAIと弱いAI
強いAIとは、人間と同等の知能や意識を持つ人工知能を指す概念である。一方、弱いAIは特定の課題に特化した実用的な人工知能であり、有用な道具であれば良いという概念を意味する。現在のAIはすべて弱いAIに分類される。
統計的機械翻訳
統計的機械翻訳とは、大量の対訳コーパスから確率モデルを用いて翻訳を行う手法である。ルールを人手で作成しない点が特徴で、ニューラル機械翻訳以前の主流技術であった。
フレーム問題
フレーム問題とは、行動によって変化しない事柄を、いちいち明示せずに推論することの難しさを指す問題である。例えば「部屋の電気を消す」という行動をした際、机の位置や壁の色は変わらないが、それらすべてを毎回『変わらない』と記述するのは非現実的である。現実世界のような複雑な環境を扱う際に、知識表現と推論が爆発的に増える点が人工知能の根本的課題とされる。
ルールベース機械翻訳
ルールベース機械翻訳とは、文法規則や辞書を人手で定義して翻訳を行う手法である。高品質な翻訳が可能な一方、ルール作成のコストが高い点が課題である。
※1970年代後半はルールベース機械翻訳が一般的だったが、1990年代以降は統計的機械翻訳が主流となった点が重要である。
ローブナーコンテスト
ローブナーコンテストは、チューリングテストを基に人工知能を評価する競技会である。最も人間らしい対話を行ったプログラムが評価される点が特徴である。「チューリングテスト」の実践的な応用として位置づけられている。
※質問者は2台のディスプレイに質問を行う。1台は人間が操作して回答し、もう1台はコンピュータが人間を真似て回答する。質問と回答のやり取りを繰り返し、もし人間とコンピュータの見分けがつかなければ、コンピュータには知性があると判断する。
3. 探索・推論
αβ法
αβ法は、Mini-Max法を効率化するために、結果に影響しない枝を事前にカットする枝刈り手法である。αカットは自分(Max側)にとってこれ以上良くならない枝を省き、βカットは相手(Min側)が選ばないと分かった枝を省く。対戦ゲームの探索空間を削減できる点が重要で、Mini-Max法とセットで問われやすい。
Mini-Max 法
Mini-Max法は、相手が常に最善手を選ぶと仮定し、自分の最悪の損失を最小化する戦略である。将棋やオセロなどの対戦ゲームで用いられ、完全情報ゲームを前提とする点が重要である。
SHRDLU
SHRDLUは、自然言語で与えられた指示を理解し、積み木の世界を操作する初期のAIシステムである。限定された世界では高性能だが、現実世界へ拡張できない点が課題とされた。
STRIPS
STRIPSは、前提条件・行動・結果の3要素で問題を定義し、行動計画(プランニング)を行う記号的AI手法である。各行動は、実行可能かどうかを示す前提条件と、実行後に状態がどのように変化するかという結果を持つ。これらを組み合わせて目標状態に至る行動系列を探索するが、知識を人手で記述する必要がある点が課題とされる。
探索木
探索木とは、問題の状態遷移をノードと枝で表現した構造である。探索アルゴリズムは、この探索木をどの順序でたどるかの違いとして整理できる。
ハノイの塔
ハノイの塔は、再帰的思考や探索問題を説明するための代表的なパズルである。アルゴリズムの考え方を理解する例題として用いられることが多い。
※3本の杭とサイズの異なる複数の円盤を用いた数学的パズルのこと。「小さな円盤の上に大きな円盤を乗せない」という制限下で、全ての円盤を別の杭へ最小手数で移動させるゲーム
幅優先探索
幅優先探索は、探索木を浅い階層から順に探索する手法である。最短経路を必ず見つけられる一方、メモリ消費が大きい点が特徴である。
深さ優先探索
深さ優先探索は、一つの枝を可能な限り深く探索し、行き止まりで戻る手法である。メモリ効率は良いが、最短経路を保証しない点が重要である。
ブルートフォース
ブルートフォースとは、全ての可能性を列挙して解を探す力任せの探索手法である。理論的には確実だが、探索空間が大きい場合は非現実的となる。
モンテカルロ法
モンテカルロ法は、乱数による多数のシミュレーション結果から解を推定する手法である。探索空間が膨大な問題に有効で、囲碁AIなどで活用された点がG検定で押さえどころである。
4. 知識表現とエキスパートシステム
Cyc プロジェクト
Cycプロジェクトは、人間が持つ一般常識を形式知としてデータベース化する長期研究プロジェクトである。常識を明示的に記述する必要があり、30年以上たった今でも続いていることから、知識獲得のボトルネックの代表例としてG検定で扱われる。
DENDRAL
DENDRALは、専門家の知識をルールとして組み込んだ初期のエキスパートシステムである。有機化合物の分子構造推定に成功し、エキスパートシステムの有効性を示した点が重要である。
is-a の関係 / has-a の関係 / part-of の関係
これらは、概念間の関係を体系的に表現するための基本的な知識表現である。is-aは「AはBの一種(継承)」、has-aは「AはBを持つ(所有)」、part-ofは「AはBの一部(構成)」を表し、意味ネットワークやオントロジーの基礎となる。
QuestionAnswering
Question Answeringは、自然言語で与えられた質問に対し、適切な回答を生成・抽出することを目的とした研究分野である。情報検索や自然言語処理と密接に関連し、質問の形式や意図を解析することが重要な課題として扱われる。
意味ネットワーク
意味ネットワークは、概念をノード、関係を矢印などで表現する知識表現手法であり、もともとは認知心理学における長期記憶の構造モデルとして考案された。is-a関係などを用いて、人間の知識構造を直感的に表現できる点が特徴である。
イライザ (ELIZA)
ELIZAは、定型的なルールに基づいて人間との対話を模倣する初期の対話システムである。意味理解は行っておらず、表層的な会話でも知的に見える点が示された。
インタビューシステム
インタビューシステムは、専門家から知識を引き出し、形式知として整理するための支援システムである。エキスパートシステム構築において、知識獲得の効率化を目的とする。
ウェブマイニング
ウェブマイニングは、Web上の膨大なデータから有用な知識を抽出する技術である。コンテンツ・構造・利用履歴の分析に分けられる点も覚えておきましょう。
オントロジー
オントロジーとは、概念や関係を明示的に定義した知識の体系である。知識の共有や再利用を可能にする共通基盤として、意味ネットワークやセマンティックWebで重要な役割を果たす。
※知識を記述するときに用いる「語彙」や「その意味」、「それらの関係性」を他の人とも共有できるように明確な約束事として定義しましょうという意味。
セマンティック Web
セマンティックWebとは、Web上の情報に意味(メタデータ)を付与し、コンピュータが内容を理解・処理できるようにする構想である。人間向けの文章中心のWebに対し、機械が意味的に情報を結び付けられる点が特徴で、オントロジーを用いて知識を体系化する。
データマイニング
データマイニングとは、大量のデータから統計や機械学習を用いて有用なパターンを発見する技術である。知識表現とは異なり、データ駆動型である点が重要である。
東ロボくん
東ロボくんは、大学入試問題を解くことで人工知能の到達点と限界を検証した研究プロジェクトである。質問の意味を理解しているわけではないので読解力に問題があり、意味理解の難しさが明確になった点が重要である。
マイシン (MYCIN)
MYCINは、感染症の診断と治療方針の提案を行う医療分野のエキスパートシステムである。推論結果の不確実性を扱うため、確信度(確信係数)を用いてルールの信頼性を数値化した点が特徴で、完全に白黒つけられない医療判断への対応を可能にした。
ワトソン
ワトソンは、自然言語処理と大規模データ解析を組み合わせた質問応答システムである。アメリカのクイズ番組「ジョパディー!」で人間に勝利したことで、実用的AIの象徴的事例として扱われる。QuestionAnsweringの研究分野における、地道な努力の結晶ですが、利用している基本技術は従来のものと変わらない。
5. 機械学習
次元の呪い
次元の呪いとは、特徴量(次元)が増えるほど、必要なデータ量が指数的に増加する現象である。その結果、学習が困難になり、汎化性能が低下しやすい点が機械学習における重要な課題として扱われる。
スパムフィルタ
スパムフィルタは、機械学習によってメールをスパムか否かに分類する代表的な応用例である。特徴語の出現頻度などを用い、ナイーブベイズやロジスティック回帰などの分類アルゴリズムが用いられることが多い。
ビッグデータ
ビッグデータとは、量(Volume)・多様性(Variety)・速度(Velocity)を特徴とする大規模データを指す。機械学習や深層学習の性能向上を支える基盤として重要である。
レコメンデーションエンジン
レコメンデーションエンジンは、ユーザーの行動履歴や評価データから嗜好を予測する仕組みである。代表的手法として、協調フィルタリング(ユーザー間・アイテム間の類似度に基づく手法)が知られている。
統計的自然言語処理
統計的自然言語処理は、大量のテキストデータから単語の出現頻度や共起関係を統計的に学習し、意味や用法を推定する手法である。
※「bank」は銀行・川岸など複数の意味を持つが、近くに「money」や「in」などの語が現れる場合は「銀行」の意味で使われる確率が高いと判断する。
6. ディープラーニング
ImageNet
ImageNetは、1,400万枚以上の画像に人手でラベルを付与した大規模画像データセットである。ディープラーニングが高精度な画像認識を実現できた背景として、大量の教師付きデータの存在が不可欠であった点がG検定では重要である。
ILSVRC
ILSVRCは、ImageNetを用いて画像分類精度を競う国際コンテストであり、2012年にディープラーニング(AlexNet)が従来手法を大きく上回ったことが分野の転換点となった。ディープラーニングが実用レベルに達した象徴的出来事として頻出である。
※2012年の優勝者:ジェフリー・ヒントン(Geoffrey Hinton)教授率いるトロント大学のチーム「SuperVision」
LeNet
LeNetは、ヤン・ルカンらによって提案された畳み込みニューラルネットワークで、ネオコグニトロンのS細胞層・C細胞層の考え方を受け継いだ構造を持つ。畳み込み層はS細胞層、プーリング層はC細胞層に対応し、理論モデルを実用的な学習可能モデルとして完成させた点が重要である。
アルファ碁 (AlphaGo)
アルファ碁は、DeepMindが開発した囲碁AIで、ディープラーニングと強化学習、モンテカルロ木探索を組み合わせた点が特徴である。「人間を超えたAI」の象徴的事例として歴史的意義が強調される。
人間の神経回路
人間の神経回路は、ニューロン同士が信号を伝達する構造を持ち、ニューラルネットワークの着想源となった。ただし、生物学的な脳を忠実に再現しているわけではない点が重要である。
ネオコグニトロン
ネオコグニトロンは福島邦彦氏が提唱した神経回路モデルで、S細胞層(特徴抽出)とC細胞層(位置ずれへの不変性)からなる階層構造を持つ。現在のCNNの概念的原型だが、誤差逆伝播による学習は行わず、LeNetで初めて学習可能な形として実装された点が対比として重要である。
生成 AI
生成AIは、学習データの分布をもとに、文章・画像・音声などの新しいデータを生成するAIの総称である。識別(分類)ではなく生成を行う点が従来の機械学習との大きな違いである。
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